朝礼でのチェックイン:チーム内での発言ハードルを下げるための取り組み
仕事場の日々の朝礼にて、チームメンバーそれぞれから状況報告や疑問点を発言してもらっている現場は多いのではないかと思います。それらの場で、チームメンバーはどれくらい発言しやすいと感じているでしょうか。嬉々としてアピールする人、恐る恐る状況報告する人、困りごとがあっても言わずにいる人など、様々でしょう。
本記事では、朝礼での発言ハードルを下げることにつながる「チェックイン」という取り組みについて、実践してみての感想を交えて紹介していきます。
「チェックイン」とは
主に会議やワークショップにて実施される、開始時に参加者1人1人が発言をする取り組みを指します。アイスブレイクの一環で、発言によって「この場に入る」ことを目的としているため、「チェックイン」という表現が使われます。
記事末尾の「参考情報」にて、書籍からの引用も掲載しています。
目的・ねらい
筆者が実践している朝礼での「チェックイン」の目的・ねらいは、大きく下記2点です。
- 内面(思考・感情)を表出できる機会を設ける
- 発言のハードルを下げる
組織・職場の雰囲気によりますが、業務中に話題に上がるのは基本的に業務の内容や状況かと思われます。それを話す人の内面に悩みや困りごとが含まれていても、話しづらいこともありそうです。思考や感情を早い段階で伝えてもらえるようになればフォローもしやすくなると考えます。
実践内容
筆者の場合、朝礼にて下記のような流れで実践しています。4〜6人程度のチームです。
- 全体連絡事項の共有
- チェックイン、個人の予定の共有
- 全体で訊きたいこと・気になることがないかの確認
チェックインは、筆者が最初に話をしています。その後の他のメンバーも、順番は毎回固定です。ワークショップなどでは、準備ができた人から挙手でという形を取ることもあります。その形だと、タイミングを見計らうために負荷が増えることもあるため、筆者の現場では順番固定にしています。
実践してみての感想
現状、2ヶ月以上継続して実践しています。その中での感想は、大きく下記2つです。
- 自分の発言内容を考えるのが難しいときが、週に1回はある
- 各メンバーのチェックインが長く感じることがある
自分の発言内容を考えるのが難しいときが、週に1回はある
「実践内容」で記載したように、筆者自身も毎回最初にチェックインで発言をしています。チーム内で内面(思考・感情)を伝えるハードルを下げることを目的としているため、できるだけ内面について伝えるようにしています。
毎回同じだと、他のメンバーもそれにつられて同じ内容に固定されることが懸念されます。毎回同じだと、形骸化したものになってしまうので、それを避けるためにできるだけ多様なことを伝えるようにしています。それが筆者の発言ハードルを上げることにつながってもいます。
筆者が話すものは、例えば以下のような感じです。本記事を読まれた方が実践してみようと思ったときに、具体的にどのような感じかがイメージしやすくなるかもしれないと考えて載せておきます。
- ちょっと喉の調子がイマイチ(身体的なコンディション)
- 今日は午後から重要な会議があるため緊張している(ネガティブ寄りな感情)
- 朝一のトラブル(会社外)が無事に片付いて、ホッとしている(ポジティブ寄りな感情)
各メンバーのチェックインが長く感じることがある
メンバーによっては、そのときの内面(思考・感情)だけでなく、前日の出来事なども含めて話をすることがあります。その場合、多少長くても止めずに最後まで聴くようにしています。長いからといって途中で遮ってしまうと、発言ハードルを下げるという本来の目的と逆の結果につながる懸念があります。
朝礼後に会議があり、短めに済ませたいこともあるかと思います。その場合、チェックインが始まる前に明言しておくようにしています。「○時から会議があるので、△時までに朝礼が終わるように今日は短めでお願いします」というように。
実施時の留意点
チェックインを実施するにあたって、下記4点に気をつけて取り組んでいます。
- 話す順番を固定
- 自分は、できるだけ多様な内容を話す
- 声の大きさを抑えるように事前に案内
- 評価対象には含めない
話す順番を固定
「実践内容」で記載したように、タイミングを見計らうための負荷をなくすために、話す順番は毎回固定にしています。人によっては、話す際の心の準備を必要とする場合もあります。順番が決まっていればどのタイミングで自分の番が来るか分かっているため、他の人のチェックインを聴きつつ、心の準備もしやすくなると考えます。
自分は、できるだけ多様な内容を話す
「実践してみての感想」で記載したように、チェックインの形骸化を避けるために、筆者自身はできるだけ多様な内容を話すようにしています。ただ、これはあくまで「自分は」です。他のメンバーが毎日同じようなことを話していても、そのことに言及はしないようにしています。
自身ができるだけ多様な内容を話すことで、他のメンバーの発言ハードルを下げることにつながると考えます。たとえば、寝不足について話すことは自分が体調管理ができていないことを示すことになり評価を下げてしまうかもしれない、と考えているメンバーがいるかもしれません。
そんな中で、「今日は寝不足気味で、欠伸が出ているかもしれないです」というような話をして周りも受け容れる場面を体験したら、寝不足について話しても良いんだ、と考える可能性もあります。このように、自身が先陣を切って多様な内容を話すことで、他のメンバーの発言ハードルが下がるかもしれません。
声の大きさを抑えるように事前に案内
チェックインで話される内容は、雑談の延長線上になる場合もあります。その場合、テンションが上がって声のボリュームが大きくなる場合もあります。朝礼をする場所に他に人がいなければ大丈夫でしょうが、他チームや他部署が同じオフィスに居ると、そちらへの妨げになる恐れもあります。
状況や背景を知らない人からすれば、大きめの声で仕事外のことを話すメンバーに対して、「うるさい奴だ」「仕事をサボって雑談している」のように悪印象を持たれる懸念もあります。ですので、チームメンバーに届くくらいのボリュームに留めてもらうよう、予めチーム全体に伝えるようにしています。
評価対象には含めない
チェックインで話された内容が、ネガティブに感じることがあるかもしれません。チェックイン内に評価者が混じっていて「こういう考え方をする人は仕事ができない」のような価値観を持っていると、メンバーの評価をする際にマイナス方向に影響してしまうかもしれません。
発言内容が評価に影響が出るという認識が生まれると、発言ハードルを下げるどころか、評価者のご機嫌取りのための業務になりかねません。そのため、評価者が朝礼メンバーに混じっている場合は、目的をしっかり伝えて、評価に影響が出ないようにしておくことが望ましいと考えます。
参考情報
ワークショップ場面でのチェックインについては、「「チェックイン」とは」に記載した内容だけだと、イメージがしづらいかもしれません。そのため、「チェックイン」を別の表現で丁寧に説明している書籍もご案内しておきます。新しく「チェックイン」を現場に持っていく際は、説明する際の手がかりとして参考にして頂けたらと思います。
引用:『プロセス・ファシリテーション 人と人、人と社会がつながって育つ、人間関係づくり体験学習プログラム』 – 林芳孝[著] – (福村出版:2025)「2.チェックイン」P52
チェックインとは、学習者がひと言ずつことばを発する場をもつことです。グループ分けをして、これから同じグループのメンバーがプログラムに取り組む仲間としてことばを交わします。ことばを発することで、その後に体験するプログラムで発言しやすくなり、それを聞いている他のメンバーはその人の声を聞き、その人の表情を見て、その人の”いま”の状況を知ります。特に初対面の人たちでつくられたグループであれば、どんな人と一緒のグループなのかを知り、自分のことも少し知ってもらうという場を融解させることにつながります。