関係構築のための言葉選び、阻害に繋がり得る言葉選び
新人・後輩とのやり取りにおいて、質問や返答を受けて、こちらから言葉を返す場面があるかと思います。
その際の言葉選び次第では、関係構築の阻害に繋がる恐れがあります。
ここでは、具体例を挙げながら、その影響及び回避策について検討していきます。
関係構築の阻害に繋がり得る言葉
関係構築の阻害に繋がり得る言葉として、例えば以下のようなものが挙げられます。
1つずつ検討していきたいと思います。
- 「前にも説明したよね」
- 「こんな簡単なことも分からないの?」
- 「普通、これくらい知っているよね」
「前にも説明したよね」
新しいこと、不慣れなことだと、1回では覚えられない・理解出来ないこともあります。
その状況下でこのような言葉を受けると、下記のような行動に繋がりやすくなると思われます。
- 前にも訊いたから訊きづらく、他の人に訊く。
- また訊くと怒られるから、訊かずに予想で進める。
別の形としては、「これを言うのは○度目だよ」というようなものもあります。
「こんな簡単なことも分からないの?」
何が簡単で何が難しいかの感覚は、人によって異なる場合もあります。
伝える側からすると簡単に感じられることでも、新人・後輩からすると難しく感じられることもあります。
このような言葉を受けると、自信喪失や自己評価の低下が起こり得ます。
行動としては、下記のようなものに繋がりやすくなると思われます。
- 簡単なことを質問すると叱責されるから、出来るだけ自分で調べようとして、結果的に30分や1時間も悩み続ける。
- アイデアや改善策を思いついたとき、「これくらい考慮済みだろう」と考えて言わないままでいる。
別の形としては、下記のようなものもあります。
- 「そんなに難しいことを言っているつもりはないんだけど・・・・・・」
- 「何がそんなに難しい?」
「普通、これくらい知っているよね」
人によって「普通」や「常識」は異なります。
同じ集団内で長く過ごすと共有される部分は増えますが、それでも一致することはないと思われます。
このような言葉を受けると、これまでの知識・経験についての自信が揺らぐ恐れがあります。
行動としては、下記のようなものに繋がりやすくなると思われます。
- また呆れられることを恐れて、別の人にこっそり尋ねる。
- 出来るだけ自分で調べようとして、結果的に30分や1時間も悩み続ける。
別の形としては、下記のようなものもあります。
- 「これって、常識じゃない?」
- 「○○に居たなら、これくらい知っていると思っていたけど・・・・・・」
回避策
ここまで、どのような言葉が関係構築の阻害に繋がり得るかを記載しておきました。
このような言葉を使わないようにするとして、どのような言葉選びをしていけば良さそうかという迷いもあるかと思われます。
以下では、どのような伝え方だと訊きやすさに繋がるかを検討していきます。
「何回訊いてもらっても構わないですよ」
「前にも説明したよね」とこちらから言わないまでも、新人・後輩側からすると、「前にも訊いたし、また訊くのは躊躇われるな」と思っていることもあります。
そこで、「同じことを複数回訊いている」という認識は共有しつつ、「何回訊いてもらっても構わないですよ」と伝えることで、質問・確認のハードルを下げることに繋がると思われます。
「○○さんにとって、簡単か難しいかは分かりません。感じ方に応じて伝え方を変えてみますので、教えてもらえますか」
簡単・難しいの感覚が人によって異なる場合があるのを踏まえた上で、実際どうなのかが伝える側からでは分からないため、こちらから訊いてみます。
その反応に応じて、下記のような調整を検討していきます。
- 簡単に感じているのであればその部分を割愛して次の説明に進む
- 難しく感じるのであれば、伝え方や伝える順番を変えてみる
逆に伝える側からすると難しいだろうから止めておこうと思ったものが、その人にとっては理解しやすいものということもあり得ます。
試しに提示してみると、もしかしたら思わぬ突破口になるかもしれません。
「分かるところ・分からないところを教えてもらえますか?」
人によって「普通」や「常識」は異なります。
これは知っているだろうと割愛したものが、その人にとって理解するために必要なピースだった、ということもあり得ます。
何がその人の理解のために不足しているかは訊いてみないと分からないので、タイミングを見て時々確認する形になるかと思われます。
同じ言葉でも、伝える姿勢によって影響は変わる
ここまで記載してきた言葉選びを実践しても、伝える姿勢によってどのように伝わるかは変わってきます。
例えば「何回訊いてもらっても構わないですよ」と言っても、訊きやすい仕組みや雰囲気づくりが伴わなければ、口だけと受け取られて訊きづらさに繋がる恐れがあります。
何をどのように伝えるにしても、下記が大事だと考えます。
- それを自分が納得した上で伝える
- 伝えていることと伝える側の行動が一貫している