聴く姿勢

何がプレッシャーを与えることに繋がるか

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「あの人とやり取りしているとプレッシャーを感じる」
周りの人について、このように感じることはありますでしょうか?

やる気を持って臨んでもらっていても、過度のプレッシャーによってストレス等の精神的負荷が掛かっていると、十分なパフォーマンスを発揮出来ないばかりか、体調を崩すことにも繋がり得ます。

新人・後輩に、コンディションを整えてパフォーマンスを発揮してもらえるように、ここでは何がプレッシャーに繋がるかを検討していきます。

話題の方向性

課題・業務に取り組んだ後等、新人・後輩と一緒に内容をふりかえることがあるかと思います。

その際、話題の方向性が下記いずれの場合かによって、プレッシャーの掛かり方が違ってくると考えます。

  • 過去の話
  • 未来の話

過去の話

ふりかえりするのだから、過去の話ではないのか、と思われるかもしれません。
確かに、話の入口は過去の出来事になります。

ふりかえりでは、出来事の確認だけで終わることは少なく、「なぜ?」「どうして?」「どうしたい?」というように、過去にも未来にも展開する可能性があります。

「なぜ?」「どうして?」と訊かれると、どのような思考になるでしょうか?
明確に答えられる問いかけであれば答えて終わりです。
ですが、すぐには分からない・答えられないときには、下記のような思考になって、プレッシャーに繋がるかもしれません。

  • 思い出せないけど、何か言う必要がある
  • 原因は分かったけど、明らかに自分のミス。言うと怒られるから言いたくない。
  • 答えることはあるけど、この理由では上司・先輩は納得しないだろうな

また、ビジネスシーンでは、原因追究・深掘りのために、「なぜ?」を3回繰り返すという手法が用いられることがあります。
この手法は、1人で内省するかフラットな関係性が出来ている場での対話では、有効に機能すると筆者は考えます。

研修・育成担当者と新人・後輩のように、上下関係がある対話の場で「なぜ?」を繰り返すと、プレッシャーに繋がる場合が大半だと感じます。
そのため、筆者は研修・育成の場において、「なぜ?」という問いかけは、極力使わないようにしています。

未来の話

ふりかえりにて、なるべくリラックスして話してもらうには、出来事の確認をした後に、未来の話・これからの話をしていくのが良さそうに思います。

上手く行かなかった出来事についてふりかえったとき、下記のような話題であれば、比較的気軽にやり取りが出来るのではないでしょうか。

  • 次はこうしたい
  • こういうときにヘルプに入ってもらえると助かる
  • これについて理解を深めておきたい

これらの話題は未確定のこと、試行錯誤が出来る領域なので、過去のことについて責任を負うプレッシャーから解放された状態で話が出来るように思います。

コミュニケーション

日頃の説明や質疑応答の場面でも、プレッシャーに繋がる要素はありそうです。

言語でのコミュニケーション

関係構築のための言葉選び、阻害に繋がり得る言葉選びにて記載した内容と重なってきます。

プレッシャーを感じた経験を共有して下さった方の話では、「1回の説明で理解しないといけない」という思いがプレッシャーに繋がったとのことです。

  • 何回訊いてもらっても大丈夫
  • 分からないところは教えて欲しい
  • どのように感じていますか

こういったプレッシャーを軽減するための声かけを重ねていくことで、リラックスした状態でのやり取りに繋がると考えます。

非言語(ノンバーバル)コミュニケーション

丁寧な声かけを重ねていても、身振り手振りや表情等、非言語の側面が伴っていなければ、プレッシャーが掛かったままになるかもしれません。

言語の側面と非言語の側面、この両者がズレていると、非言語の側面からのプレッシャーがより強調される恐れもあります。

非言語の側面として、筆者は下記が特に重要だと考えます。

  • 目線の高さ
  • 沈黙の長さ
  • 視線

目線の高さ

目線の高さについては、立っているか座っているかの話とも繋がってきます。
新人・後輩から質問に呼ばれたとき、どのような体勢で答えていますか?

パソコンを使っての作業を例に挙げてみます。
一緒に画面を見る場面で、座っている新人・後輩の真後ろに立つと、かなりのプレッシャーが掛かるように思います。

筆者が過去に研修・育成を担当した方から、「真後ろに立たれると緊張で話せなくなるから立たないで欲しい」というように伝えてもらったことがあります。

プレッシャーが掛からないようにするために、筆者は下記のようにして出来るだけ目線の高さを合わせてやり取りするようにしています。

  • 椅子を持っていって隣に座る
  • しゃがむ

沈黙の長さ

何か問いかけをした後、どれくらい新人・後輩の返答を待ちますか?

自分で考えて気づきや学びを深めてもらおうとして長く待つと、これがプレッシャーに繋がることもあります。

普段から厳しめの印象を持たれていると、沈黙は無言のプレッシャーに変換され、考える余裕を奪ってしまうかもしれません。

かといって、すぐに解説を始めると考える間がなくなってしまいます。

筆者の場合は、少し待ったら「どんな感じです? もう少し考えます? 解説聴きます?」等のように状況確認の声かけを挟むようにして、沈黙が長くならないようにしています。

視線

常に新人・後輩に視線を向け続けると、圧迫感が生じる懸念があります。

面談や1on1で話を聴く際も、座席を斜めに配置する等、視線を外しやすいような工夫をしたりします。

説明や質疑応答でも同様で、視線は適宜外すようにすることで、与えるプレッシャーを軽減出来るように思います。

もし、返答待ちの沈黙で更に視線も向け続けたら、与えるプレッシャーは相当なものになりそうです。

周りとの比較

同じタイミングで、2人以上の研修・育成を同時に行うこともあるかと思います。
筆者の経験では、進捗のバラツキはほぼ確実に出てきます。

バラツキが出てきたときの調整で、プレッシャーの掛かり方が違ってくると考えます。

  • 進捗が遅い人に合わせて進める
  • 無理に歩調を合わせず、各自のペースで進んでもらう
  • 指定範囲内では各自のペースで進んで、特定のポイントでのみスタートを揃える

正直なところで、いずれの場合でもプレッシャーが掛かる人は出てくると思われます。
大事なのは、新人・後輩にどうしたいかを確認していくことだと考えます。

深掘りと責任追及は紙一重

ふりかえりで「なぜ?」「どうして?」を過度に掘り下げると、責任追及に繋がってしまう恐れもあります。

犯人探し・責任追及になっていないかは、常に気に掛けながらやり取りをしたいと考えます。

ABOUT ME
部署内の新人・後輩の研修・育成に関わっている会社員です。 セミナーや勉強会、書籍での学びを現場で実践していっています。 このブログでは、実戦経験を含めた学び・気づきについて、情報を発信していきます。
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